ぽつねんと守衛が一人冬深む
ここが何処だかお分かりであろうか。実は日本銀行なのだ。日本橋を歩いていたら、突然ここに出た。まじまじと日本銀行を眺めるのは、初めてのことだ。新しく精緻な紙幣が発行されたが、電子マネーに押されて現物は使われない時代になってしまった。失われた三十年と言われるが、日本経済は一体どうなってしまったのか。玄関に立つ守衛も何となく頼りなげに見える。日本銀行で思い出したのは大俳人金子兜太だ。兜太は日本銀行に定年まで勤めた。「窓際族どころでなく、窓奥族であったからものが書けた」と述べている。金子兜太は、俳句界の一方の雄であった。現代俳句協会を率い、影響力は俳句界にとどまらなかった。


