夏帽の百三歳を偲びをり
山崎剛太郎さんの遺品の夏帽を、今はぼくが被っている。剛太郎さんが百三歳で亡くなられてから二年以上が過ぎた。山崎剛太郎さんは、詩人で小説家。若き日の彼の小説『薔薇物語』は芥川賞の候補にもなったと聞いた。本業は、フランス映画の字幕翻訳で、この分野での草分け的存在である。山崎さんは、ぼくの父・小山正孝の生涯の親友であった。府立四中で出会ってから、親交は七十年に渡った。ぼくの記憶は、多摩川園遊園地でお猿の電車に乗せてもらったこと、そして東宝東和の試写室で見せたもらった「沈黙の世界」と「赤い風船」の2本の映画だった。カラーの美しい画面は鮮明に記憶に残った。




