春の夜、水気を含んでぼんやりとかすんで見える月。
俳句フォトエッセイぼくたちはどう老いるのか月朧
信頼する友人から一冊の本を勧められた。高橋源一郎の『ぼくたちはどう老いるか』(朝日新書)である。早速手に入れて、読んだ。第1章では鶴見俊輔の『もうろく帖』が取り上げられている。老いは新たな体験であり、その先には死がある。そこに至る過程はどのようなものか。『もうろく帖』では本人の筆でそれが書かれている。しかし、「もうろく」してしまってもさらに死までの過程がある。それを本人が書くことは不可能だ。次の章で取り上げられているのは家族から見た老いと死である。吉本隆明の死に様。有吉佐和子の『恍惚の人』が紹介され、最後が私小説作家耕治人が認知症の妻とのことを死ぬ間際に書いた三つの小説である。
