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さまざま

俳句フォトエッセイ

とんかつの脂の匂ひ蜆汁

とんかつに味噌汁は付き物だ。具はさまざまだが、ぼくは蜆汁がいい。箸に当たる蜆の感触、コクのあるだしが何とも言えない。とんかつの脂っこさが途端に消える。「蜆汁」は春の季語だ。蜆と言えば、宍道湖、松江である。 NHKの朝ドラ「ばけばけ」で松江はずいぶん賑わっているらしい。俳人辻桃子は「宍道湖の今朝の濁りや蜆汁」と詠んだ。蜆には旬が年に2回あるとされているが、産卵を控える春が1番美味だという。身が肥え始め、味が濃く、だしがよく出るからだ。かつて、神保町に「いもや」というとんかつ屋があった。いつ行っても行列だった。メニューはロースかつとヒレかつの2つだけ。それに大鍋から無造作に掬った蜆汁が付く。

俳句フォトエッセイ

区役所の山桜の肌艶めきぬ

区役所の前庭に山桜が三本ある。植えたのはおよそ十年前だ。前庭に植えることで、俳句教育を区に根付かせたいと思った。幹は確実に太くなっている。趣旨を謳い寄付を募ったところ、約30万円が集まった。多くの人が応援してくれて植樹となった。植樹式では区長から挨拶をいただき、富岡八幡宮の宮司丸山総一氏にお祓いをしていただいた。俳人の長谷川櫂氏による講演も行われた。植樹された山桜の前には俳句教育の推進を願って、芭蕉の「さまざまなこと思ひ出す桜かな」のプレートが置かれている。ぼくは3年前に江東区の「俳句教育推進員」の職を辞したが、現在もS先生を中心に江東区の俳句教育はますます発展している。