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三楽病院

俳句フォトエッセイ

病院の窓の外なる冬景色

関東労災病院の食堂から中原区平和公園の緑が見えるが、どことなく寒々しい。ちいさな事件があった。食事をしていた方が突然倒れられた。館内放送が流れると、あっという間に10人を超すお医者さんや看護師さんが集まり担架が用意された。皆若い人だった。ぼく自身も救急車で病院に運ばれたことがあるし、顔面神経麻痺の際は10日間入院した。亡くなる前に母がお世話になった井田病院も思い出深い。大雪の中見舞いに行ったことを思い出す。母は尊厳死協会の会員だった。胃ろうはもちろん、点滴もしないと言い張った。そんな母を宥めすかして、入院させた。痛みが取れて帰ってきた母に「なぜ入院させたのか」と責められた。

俳句フォトエッセイ

電線の影の溶けたる残暑かな

9月に入ったのに暑い。日傘を差して出かけた。ふと振り返ったら、電線の影が見えない。一瞬ギョッとした。単に太陽光線の角度がずれて道に影が写っていないだけなのだが(笑)。影が溶けたのかと思った。自分の中の暑さの記憶を辿ってみた。子供の頃、汗をかいた記憶はあるが「暑い」という形での記憶はない。子供は暑さを感じないのだろうか。ぼくにとっての「暑さ」の記憶は、東京の気温が初めて39°Cを超えた1994年が一つ。この年、ぼくは西麻布の学校に勤務していた。冷房のない教室で毎日汗を流していた。歩道の壁の熱さに驚いた。二つ目はモンゴル旅行である。草原では馬が頭を寄せ合い、陰を作り合っていた。

俳句フォトエッセイ

春めくや並びて鱈子スパゲッティ

トラットリアレモンは、お茶の水のレモン画翠の経営するイタリアンレストランである。レモン画翠は大正時代から続く由緒ある店だ。トラットリア「レモン」は鱈子スパゲッティがメニューの中心で、それに苺ジュースがつく。人気で昼になると行列ができる。店内も実にお洒落。ぼくがここに来るのは、ほぼ、三ヶ月に一度、三楽病院の定期検診の血液検査の後である。この時だけは塩辛い鱈子スパゲッティを楽しみ、甘い苺ジュースを心置きなく飲む。しかし、それも今日で終わりだ。三楽病院から撤退して地元の病院に移ることにしたからだ。その経緯は前に書いたのでここでは省く。三楽病院は元々は教職員の病院だった。