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住宅地

俳句フォトエッセイ

浅春の松本芳明写真展

松本さんは、俳句教育の仲間だ。その松本さんが写真をしていることは、知っていたが、これほどとは思わなかった。場所は、西麻布の四丁目。ギャラリーイー&エム西麻布という画廊だ。瀟洒な住宅地の中だが、有名な麻布食堂の真ん前だから分かりやすい。作品は全てモノクロ。「出生地」との題の通り、彼が生まれ育った家を撮ったものだ。彼自身が書いたパンフレットによると、「故郷だが素直にふるさとと呼べない出生地」とある。「暴力をふるうことでしか伝えられなかったことは何だったのか。時代が産んだ人格。しかしその中で父は仏像の絵を描き続けた。そんな父の声を受け止めたいと今は思う。」

俳句フォトエッセイ

廃屋を喰ひ始めたり青き蔦

散歩の途中である。改めて、しげしげと眺めてしまった。まだ古い家ではない。意匠をこらし、お洒落な一軒家である。誰も住んでいないことは、明らかだ。白く塗られた家を青蔦がぬめぬめと這い上がっていく。飲み込まれてしまうのは、時間も問題であるかのようにも感じられる。廃墟ツアーというのが、あるそうだが、ぼくが見た無惨な廃墟の一つは、長崎の軍艦島だ。軍艦島の名称は、外観が戦艦「土佐」に似ているところからついた。20世紀前半は質の良い石炭が取れることから大いに採掘が進んだ。「端島炭鉱」と呼ばれた。高層の住宅が作られ、1960年頃には、5000人が住んだと言われる。それが、エネルギー政策の転換で廃坑になった。