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佐々木信綱

俳句フォトエッセイ

卯の花をはじめて知りて傘寿かな

考えてみるとぼくの歳は80に近い。それなのに、これまで卯の花を知らなかった。佐々木信綱の作詞による唱歌「夏は来ぬ」は「卯の花の、匂う垣根に」の歌詞で始まる。卯の花は、初夏を代表する花なのだ。先日、ある方に「これが卯の花」と教えていただいた。白い小花が重なり、息を飲むほどの白だった。昔の人が卯の花を愛でたのがわかるような気がした。「卯の花腐し」という季語がある。せっかく咲いた卯の花を腐らしてしまう雨という意味だ。卯の花の白を見ると、この言葉に込められた恨めしい気持ちが痛いほどわかる。もちろん若い時に卯の花を知れば、それにこしたことはなかったが、生きているうちに出会ったことを奇貨としたい。

俳句フォトエッセイ

大寒や軍国少年なりし頃

ここは千代田区の東郷元帥公園である。東郷元帥とは、連合艦隊を率い、あの日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を撃破した、東郷平八郎のことだ。子供だったぼくにとって、東郷元帥は乃木希典大将と並んで英雄だった。わざわざ横須賀まで戦艦三笠を見に行ったこともある。「水師営の会見」という軍歌は何度聞いたか分からないほどだ。「旅順開城約なりて敵の将軍ステッセル」から始まる歌だ。佐々木信綱の作詞で、最後は「昨日の敵は今日の友語る言葉も打ち解けて我は讃えつつ彼の防御彼はたたえつ我が武勇」で終わる。映画も観た。「明治天皇と日露大戦争」。特に好きだったのは軍艦だった。