卯の花をはじめて知りて傘寿かな
考えてみるとぼくの歳は80に近い。それなのに、これまで卯の花を知らなかった。佐々木信綱の作詞による唱歌「夏は来ぬ」は「卯の花の、匂う垣根に」の歌詞で始まる。卯の花は、初夏を代表する花なのだ。先日、ある方に「これが卯の花」と教えていただいた。白い小花が重なり、息を飲むほどの白だった。昔の人が卯の花を愛でたのがわかるような気がした。「卯の花腐し」という季語がある。せっかく咲いた卯の花を腐らしてしまう雨という意味だ。卯の花の白を見ると、この言葉に込められた恨めしい気持ちが痛いほどわかる。もちろん若い時に卯の花を知れば、それにこしたことはなかったが、生きているうちに出会ったことを奇貨としたい。


