振り向けば石蕗の花の黄そこに在り
「石蕗」(つはぶき)と書いて、「つは」とも読む。鮮やかな黄色の花だ。花が少なくなる冬に咲く。鮮やかな黄色なのに、静かで控えめな感じがするのは、ぼくだけではないだろう。いかにも、振り返ったら、そこにあったというような風情なのだ。一つには、石蕗の花が日陰や半日陰の土地を好むからであろう。表通りというより、どちらかと言うと裏通りが似合う。多くの花が外国由来だが、石蕗の花の原産地は日本である。九州では、昔石蕗を食用にしたとの記述が牧野富太郎博士の『牧野日本植物図鑑』にあるらしい。茶道では客を茶室に導く露路に植える代表的な花の一つとされる。茶花として茶室に控えめに活けられることも多い。

