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教頭

俳句フォトエッセイ

秋霖にか細き東京タワーかな

久しぶりに六本木に出た。懐かしい。昔を懐かしむのは老いた証拠だろうか。ぼくは、45歳から47歳までの3年間飯倉交差点脇にある港区立麻布小学校の教頭を務めた。丁度オウムによるサリン事件があった頃だ。六本木の街の雰囲気は昔と同じだ。交差点のアマンドはそのままだし、和菓子の青埜もそのまま残っている。青山ブックセンターは名前を変えて健在だ。しかし、麻布警察署は姿を消していたし、六本木の象徴と言えるロアビルはそろそろ閉鎖に向かって動いているようだ。六本木には日本初と言われるハンバーガーの店「ザ•ハンバーガーイン」があったがストレッチの店に変わっていた。何より変わったのは麻布台ヒルズである。

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この先は進入禁止五月尽

明日から六月だというのに、寒い一日だった。半袖の子がいる一方、ダウンを着込んでいる人もいる。進入禁止の道路標識を見て「自分の人生で前を塞がれたことがあったか?」と振り返ってみた。高校の受験は一校だけ受けたが、無事に合格した。背伸びしなかったからだろう。大学も浪人せずに入学した。教師になるつもりもなかったのに、教育学部に入った。入りさえすればどこでもよかったのだ。授業には碌に出なかったのに、四年で卒業できた。最小限の単位しか取っていなかった。要領は良かったのだろう。それでも結局教師になり、24歳で結婚した。30歳で子どもが産まれ、45歳で教頭になった。50歳で校長になり、12年間勤めあげた。