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春の訪れ

俳句フォトエッセイ

近寄れば白木蓮の命かな

いつもの白木蓮だが満開だった。「命がたぎる」かのようだ。通るたびに、白木蓮を立ち止まって見る。数週間前には硬い蕾だった。1週間ほど前に花びらが僅かに開き始めた。そして、今日のこの勢い!命に元気をもらったような気分になった。植物と花は大昔から一体のものだと思っていたが、違うらしい。花は、植物の発明品なのだという。地球上、最初の花は今から約1億2500万年前のジュラ紀と呼ばれる時代に生まれたと言われる。思いの外新しい。昆虫に蜜を提供する代わりに、花粉を運んでもらう、その目印が花である。それは自力ではなくて、他力で生きるという考え方だ。種の生存を他に預ける。実に大胆である。

俳句フォトエッセイ

ぐいぐいと頭もたぐる花菜かな

雨がやんで、急速に気温が上がった。一雨ごとに春が来ると言うが、本当だ。一夜のうちに、菜の花の背が伸び花が生き生きとしてきた。聞こえるわけではないが、音を立てて菜の花が成長しているように感じられる。菜の花の原産地は、地中海あるいは中近東のトルコ辺りと言われているが、弥生時代には既に日本に入ってきたようだ。和名は「アブラナ」。その名の通り、菜種油を取るために栽培されたのだろう。そう言えば、子どもの頃飼っていた鳩の餌に黒く小さな菜種を混ぜたことがあった。潰せば油が滲み出てきそうだった。「菜」というのは、食べられるものという意味だから、菜の花は「食べられる花」だろうか。

俳句フォトエッセイ

ピーターラビットの世界春遠からじ

おそらくだが、これはピーターラビットの世界ではあるまいか。ピーターラビットは全世界で読まれた絵本だ。4500万部とも言われる超ロングセラーである。寒の入りというのにここだけは春のようでもある。こどもの絵本と言えば、ぼくの場合は『ちびくろサンボ』と『ちいさなおうち』だ。何度読んだかしれない。『ちびくろサンボ』は、一時差別的な表現とされ、世の中から抹殺されそうになったが復活した。言葉狩りはまだ根強く残っている。ぼくも勤めていた頃「片手落ち」や「目をつぶる」など、体を使っての表現はまかりならんと言われたことがある。『小さいおうち』はアメリカの作家バージニア・リー・バートンの作品。