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梔子

俳句フォトエッセイ

総身に金木犀を浴びに行く

金木犀の季節である。例年より若干遅い気がする。金木犀の開花期間は結構短い。せいぜい1週間から10日前後ではないか。それに雨が降るとたちまち散ってしまう。朝起きたら、木の下がオレンジに染まっていたということも度々である。ぼくは金木犀のオレンジ色に惹かれるが、一般的には「香り」の花として認識されているのではないだろうか。後藤比奈夫に木犀の匂ひの中ですれ違ふがある。やはり匂いだ。梔子(くちなし)や沈丁花、ジャスミンなども強い香りを持つ。子どもの時から鼻が悪いぼくでも、これらの匂いは区別がつく。中でも梔子の甘い香りにはうっとりする。渡哲也の「くちなしの花」の歌も大好きだ。

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紫陽花の断首の時の近づけり

まだまだ梅雨は続いているのに、紫陽花が枯れ始めている。これも地球温暖化、酷暑の影響である。紫陽花は、気温が一定以上になると枯れるらしい。先週一週間の暑さのせいに違いない。すっかり生気が失くなってきた。紫陽花は水を好む花だ。鉢植えの紫陽花に二日間水をあげなかったら、すっかり萎れてしまった。慌ててたっぶりの水で植木鉢を満たしら、次の日には復活したので、胸を撫でおろしたが、油断禁物だ。植物に詳しいAさんに「そろそろ花を切った方がいいわね。そうしたら来年も大きく咲くから」と言われた。どこを切れば良いかの図まで丁寧に書いて教えてくださった。首を切るのは忍びないが「泣いて馬謖を切る」しかない。

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恐らくは未央柳(びようやなぎ)と思ひたり

空はすっかり梅雨の様相になっている。道端の紫陽花がますます色付いてきた。紫陽花の青は、梅雨空に美しく映える。しかし、この時期に美しいのは紫陽花ばかりではない。山帽子や梔子(くちなし)などの花の白も印象的だ。山法師は「白」とばかり思い込んでいたら、葉と同じような薄緑色の花もあると知った。白よりも水浅葱なる山法師正見梔子は、一重も八重もある。白一色も美しいが、朽ちかけて茶色が混ざった花の方が風情を感じる。「くちなしの花」と言えば、ぼくにとっては渡哲也だ。若い子はまるで知らない。