【初心者歓迎】俳句フォトの会 会員申込はこちら

現代俳句協会

俳句フォトエッセイ

歳晩や石田波郷を語り合ふ

ある日、江東区の広報課から電話があった。用件は「波郷記念館で区長と対談してほしい」というものであった。区長とは大久保ともか氏である。一度日程が合わないからと断ったら、別日を指定された。波郷のことなら僕より詳しい人がたくさんいると思ったが、折角の機会なので受けることにした。石田波郷は、戦後の大俳人である。戦後江東区に住み『江東歳時記』を著した。ぼくが波郷の句に出逢ったのは、「初蝶や我が三十の袖袂」だと記憶している。「バスを待ち大路の春を疑はず」の青春性にも惹かれた。しかし、波郷の生涯の全体を見ると結核との闘いだった。七夕竹惜命の二字隠れなし今生は病む生なりき鳥兜などの句には涙を禁じえないほどだ。

俳句フォトエッセイ

神の留守此処で会つたが百年目

「似てるなぁ」間違いない!声を掛けるとやっぱり彼だ。臨海線の大井町のホーム。地下へ地下へとエスカレーターを乗り継いでいく、あのホームだ。しかも端っこ。ぼくは、東京ビッグサイトで行われている「文学フリマ」に行く途中だ。彼は幕張で行われているゲームマーケット2025に向かう途中だと言う。「昨日は出店したが、今日は遊びだ」と笑う。彼の名前は大山功一。ポケモンカードゲームの創作に関わり、業界では知る人ぞ知るレジェンドである。最近は自作のカードゲームの創作を中心に活動している。ぼくは彼の「タルカ」という単純だが、逆転の発想のゲームに驚かされた。

俳句フォトエッセイ

何一つ予定無き日の薔薇赤き

久しぶりにカレンダーが空白の予定のない日だった。実に気軽だ。何をしても、どう時間を使うかをその日の気分で決めることができる。パンを焼き、トマトを切って、それにヨーグルトという軽い朝食を取って、最初に向かったのは銀行だ。溜まった小銭を預金するためだ。、小さなジャムの瓶にいっぱいに溜まった小銭は一万円近くあった。次は床屋だ。ほぼ一ヶ月に一度行くことにしているが、3週間を過ぎると伸びた感じになる。行ける時に行っておこう。老人割引で1900円。ひげまで当たってくれる。歩いて武蔵小杉の中原区役所に向かった。医療費が戻ってくると言う。それだけ病院に「投資」したと言うことだ。

俳句フォトエッセイ

文学はまだまだ死なず蟻無蔵

友人から「東京ビッグサイトに来ないか」と誘いを受けた。何の予定も無かったので、いそいそと出掛けた。大井町で乗り換えてりんかい線に乗る。「国際展示場前」で降りる。乗客の大部分も降りた。ほとんどがビッグサイトに向かっている。イベントの名前は「文学フリマ東京40」文学作品展示即売会である。ビッグサイトの南1〜4ホール全体を使う大イベントだ。出店数は2750。入場料は1000円。リストバンドをつける。13時前後に当日券で入場したぼくの番号は12754。前売りもあるだろうし、総入場者数は少な目に見積っても2万人を超えるだろう。たった一日5時間だけのイベントだ。

俳句フォトエッセイ

ぽつねんと守衛が一人冬深む

ここが何処だかお分かりであろうか。実は日本銀行なのだ。日本橋を歩いていたら、突然ここに出た。まじまじと日本銀行を眺めるのは、初めてのことだ。新しく精緻な紙幣が発行されたが、電子マネーに押されて現物は使われない時代になってしまった。失われた三十年と言われるが、日本経済は一体どうなってしまったのか。玄関に立つ守衛も何となく頼りなげに見える。日本銀行で思い出したのは大俳人金子兜太だ。兜太は日本銀行に定年まで勤めた。「窓際族どころでなく、窓奥族であったからものが書けた」と述べている。金子兜太は、俳句界の一方の雄であった。現代俳句協会を率い、影響力は俳句界にとどまらなかった。