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雑踏

俳句フォトエッセイ

雑踏を横目に虫の声虫の声

ふと虫の声が聞こえた。確かに虫の声だ。「こんなところで」街のど真ん中、雑踏の中だ。どうやら、道路ぎわの花壇からのようだ。「都会の真ん中に虫がいるのか」不思議な気分だった。俳句では、「虫」とは秋の鳴く虫のことを指す。鈴虫とかコウロギとかキリギリスのことだ。子供の頃は、虫籠に入れて飼ったこともあった。コオロギの「コロコロ」として柔らかい鳴き声も好きだが、鈴虫の澄み渡った声は何とも言えない。平安貴族は、虫の声を風流なものとして楽しんだ。中国や韓国にも日本と同じような習慣があるらしい。街は人間が支配していると考えたら間違いだ。アスファルトの隙間から草が生え、夜になれば虫の声が聞こえる。

俳句フォトエッセイ

走り梅雨心を癒す珈琲屋

ぼくの住んでいる元住吉の唯一の本屋だった「住吉書房」が無くなって、本と自然に触れることができなくなった。もう一つ困ったことは文房具も買えなくなったことだ。住吉書房は文房具屋も兼ねていたからである。タックシールが必要になった。何処に買いに行こうか。日吉や自由が丘にも売っている店はありそうだ。しかし、行ってもし無かったら出直しになってしまう。渋谷の東急ハンズなら絶対ある。そこで渋谷まで出かけた。渋谷の雑踏はぼくは嫌いではない。あのごった返すような雰囲気。騒音が宇宙背景放射のように迫ってくる。崩れた若さが四方八方に飛び散っている。