剃る髭に白の混じりぬ秋の暮
鏡で自分の顔をしげしげと眺めた。頭の毛ばかりでなく、顎の髭も相当に白くなっている。毎朝、髭を剃るのは面倒くさい。実に面倒くさい。若い時の無精髭なら、それなりに格好いいが、ジジイの無精髭はみすぼらしくなるだけだ。実は、一度だけ口髭を蓄えたことがある。24歳で結核療養所にお世話になっていた時である。しかし、やってみると髭を全部剃るのより手間がかかる。顎などは剃らなくてはならないし、その上伸ばしている髭も長さをそろえるないと、たちまちだらしなく見える。昔は毛深い方が女性にモテた。胸毛などは男らしさの象徴だった。今は時代が逆転した。毛深い方が敬遠されたりする。髭は現代に似合わない。


