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葛切を男一人で喰らひけり

小山正見

久しぶりの京都だ。
驚いたのは、新横浜から京都まで2時間もかからないことだ。9時30分に乗って、11時半前には京都に着いてしまった。これなら日帰りも可能だろう。
新幹線を降りて、びっくりしたことが更に2つ。一つは京都駅構内の飲食店街が雰囲気よくリニューアルされていたこと、もう一つは京都でSuicaが使えるようになっていたことだ。2013年からそうなっていたようだが、前回は一日券を使っていたからか、全く気が付かなかった。
まず向かったのは、四条河原町の葛切りの「鍵善」である。四条の橋の近くと思い込んでいたが、実際はかなり奥で、祇園の入口に近かった。
店に入って記憶が蘇った。窓際の席に通されたが、9年前と同じ席だった。
当然葛切りを頼む。1400円だった。
当たり前だが、183円の葛切りのはモノが違う。
「黒蜜にしますか白蜜にしますか」
と問われた。迷わず「黒蜜」と答えたが、ほとんどの客が黒蜜を頼むようだ。
53年前は2階だったとぼんやり覚えている。鍵善の思い出は妻と重なる。
ぼくらの結婚式は6月11日だった。そして新婚旅行は京都。鍵善で黒蜜の葛切りを向かいあって食べた。
違うのは、今日は一人だと言うことだ。
宿は西陣の中にあった。
素泊り6600円。小規模だが、洒落た雰囲気のホテルだ。部屋にトイレや風呂はない。共用のキッチンがあり自炊ができるようになっている。夜は従業員も不在だ。
年寄りのぼくには、トイレだけは困ったが、若ければ何も問題がないだろう。次のここで良いと思った。
とんでもない失敗があった。スマホの充電器を忘れたことだ。(入れたつもりなのに 泣)しかも、充電用のコードが断線していて使えない。これには焦った。
今の世、スマホは命綱だ。
朝になり充電コードを借りて事なきを得たがヒヤヒヤヒヤヒヤ・・・