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戦艦三笠

俳句フォトエッセイ

夏来る憎つくき電信柱かな

今から70年近く前になるが、ぼくは写真の中央に立つ電信柱での出来事を鮮明に覚えている。確か、小学校5年生の夏だった。ぼくは自転車に乗り、この曲がり角に差し掛かった。その時に、向こう側から来たのは5トン積みのダンプカーだった。目の前に電信柱。ぼくは逃げ道を失い、自転車はダンプカーの後輪にあっという間に巻き込まれた。トラック特有の後輪差で巻き込まれたのだ。自転車の潰れる音がした。奇跡的に、ぼくは巻き込まれずに、跳ね飛ばされた。今はマンションの壁になっているそこは、幸いにも柔らかい垣根だった。あちらこちらに擦り傷を作ったが、頭も打たず一命を取り留めた。ぼくは運転手におんぶされて家に戻った。

俳句フォトエッセイ

大寒や軍国少年なりし頃

ここは千代田区の東郷元帥公園である。東郷元帥とは、連合艦隊を率い、あの日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を撃破した、東郷平八郎のことだ。子供だったぼくにとって、東郷元帥は乃木希典大将と並んで英雄だった。わざわざ横須賀まで戦艦三笠を見に行ったこともある。「水師営の会見」という軍歌は何度聞いたか分からないほどだ。「旅順開城約なりて敵の将軍ステッセル」から始まる歌だ。佐々木信綱の作詞で、最後は「昨日の敵は今日の友語る言葉も打ち解けて我は讃えつつ彼の防御彼はたたえつ我が武勇」で終わる。映画も観た。「明治天皇と日露大戦争」。特に好きだったのは軍艦だった。