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横澤茂夫

俳句フォトエッセイ

夜の秋泥舟展の佇まひ

酷い暑さだ。これから8月6日頃までが大暑である。誰しも認める一番暑い時期だ。芥川龍之介に《兎の片耳垂るる大暑かな》の句がある。今ほどではないといえ、昔も暑かったのだ。「夜の秋」は夏の季語だ。暑くても夜には少し涼しくなって秋の気配が漂うという意味なのだが、どうやら今年はその兆候はありそうもない。そこに「わびの陶」秋風庵泥舟展の案内が届いた。この泥舟展に行けば、その涼しさを感じられるだろう。冒頭の句はそんな意味である。泥舟(秋風庵泥舟)は、ぼくの心許せる友の一人だ。本名を横澤茂夫という。付き合いはもう30年になる。北区の小学校の先生だったが、請われて京都に立命館の小学校に赴任した。

俳句フォトエッセイ

葛切は新婚の味京の味

昨日はさくらんぼだったが、今日は葛切だ。三代目茂蔵という豆腐が安くて美味い店がある。埼玉の春日部が本拠地で、関東を中心に400店以上が展開されている。ここで葛切を売っていた。税込で183円だった。葛切には思い出がある。僕ら(私と邦子)が結婚したのは1972年の6月だった。二人とも24歳だった。神楽坂にあった都立教育会館で結婚式をあげ、新婚旅行は京都だった。俵屋に次いで名高い炭屋という高級旅館に泊まった。随分気張ったものだ。その時に食べたのが祇園四条にある鍵善良房の葛切だった。高級旅館で懐石料理も食べたはずだが、まるで覚えていない。覚えているのは鍵善の葛切だけだ。