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夜の秋泥舟展の佇まひ

小山正見

酷い暑さだ。これから8月6日頃までが大暑である。誰しも認める一番暑い時期だ。芥川龍之介に《兎の片耳垂るる大暑かな》の句がある。今ほどではないといえ、昔も暑かったのだ。
「夜の秋」は夏の季語だ。暑くても夜には少し涼しくなって秋の気配が漂うという意味なのだが、どうやら今年はその兆候はありそうもない。
そこに「わびの陶」秋風庵泥舟展の案内が届いた。
この泥舟展に行けば、その涼しさを感じられるだろう。冒頭の句はそんな意味である。
泥舟(秋風庵泥舟)は、ぼくの心許せる友の一人だ。本名を横澤茂夫という。付き合いはもう30年になる。北区の小学校の先生だったが、請われて京都に立命館の小学校に赴任した。実にチカラが有る先生だった。
ぼくは京都に2回彼に会いに行った。
その京都での生活が彼の陶芸を圧倒的な高みに引き上げたようだ。作品を眺め、手に取ると惚れ惚れする。
芸術品としてばかりか、普段使いの器としてもうってづけである。
今、彼は陶芸の町益子に住んでいる。その様子を覗きに行ったことがある。
土を捏ね窯で焼く、陶芸一筋の生活が垣間見えた。
その彼の陶芸展が数年ぶりに日本橋三越で行われる。8月5日から11日である。
これは、何をおいても行かずばなるまい。
炎暑の中にあっても「夜の秋」らしい涼しさを届けてくれるに違いない。