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井上陽水

俳句フォトエッセイ

くちなしや今では指輪も回るほど

年配の方は、ご存知だろう。渡哲也が歌い、大ヒットした「くちなしの花」である。1974年というから今から50年以上前である。俳句の授業で「くちなし」を取り上げた時、この歌を紹介したらキョトンとされた。ぼく自身、あまりのテンポの遅さに改めて時代の変化を感じざるを得なかった。「歌は世に連れ・・・」と言うが、ぼく自身の人生もまた、時々の歌と共にあったのは確かだろう。橋幸夫の「高校三年生」を修学旅行のバスの中で歌った記憶があるが、好きにはなれなかった。吉永小百合が歌った「寒い朝」。「北風吹ぬく寒い朝も心一つで暖かくなる」は今でも心に残っている。発売の年月日を調べたら、1962年とあった。

俳句フォトエッセイ

春の雨見渡す限り傘である

久しぶりの雨だ。大船渡の森林火災がこの雨で鎮火に向かってくれると嬉しい。さて当たり前の話だが、雨が降ったら傘を差す。子供の頃、傘は貴重品だった。なくそうものならひどく怒られた。それが今はビニール傘。家の中にも溢れている。どこかに置き忘れたい気分にすらなる。調べた訳ではないが、この「傘」という習慣が始まったのは、結構近代なのではないかという気がする。農作業などをする時に傘は使わない。長い距離を移動する時も重い傘をずっと差し続けるのは至難だ。だから、蓑とか頭に被る笠という選択になる。「傘」が便利なのは、近距離のちょっとした移動の時だけだ。つまり、それは都市生活と関係している。