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入院

俳句フォトエッセイ

冷まじき昭和の残滓山田荘

壁に張ったトタン板は、赤く錆びている。もう誰も入居者は居ないだろう。外付けの階段は荒果てている。そんな山田荘にも光る時代があったはずだ。ぼくは、この古びたアパートの脇を通りながら、新婚の数か月を過ごしたアパートを思い出した。北千住から西新井大師に向かう大師道、西新井小学校の前辺りにそのアパートはあった。名前は山賢荘。外付け階段の2階、6畳と4畳半の2部屋、風呂はなかった。ままごとみたいな結婚生活だった。結婚と同時に就職したぼくは、その部屋から職場である足立区立江北小学校に通った。同時に入った新卒の仲間が7人もいる学校だった。ぼくは、2年生の担任に充てられた。

俳句フォトエッセイ

じつとして時待ちをれば春の声

ギックリ腰は動かないのが一番。医者に行ってもどうにもならない。諦めて一日寝ていたら、どうにかゆっくり動けるようになった。体の不調は突然やってくる。10年前、朝起きたら突然顔面神経麻痺になっていた。唇の半分が動かない。ストローで水も吸えない。笑っても顔が歪む。顔面神経麻痺の治療は、初期の大量のステロイドの投与が成否を分けると知った。既に妻が認知症を発祥してをり迷ったが、思い切って入院することにした。ステロイドの点滴を行い、ブロック注射を毎日打った。退院の時が来ても顔面麻痺は一向に治らなかった。「本当に治るのか」不安があった。