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希望

俳句フォトエッセイ

いわし鯖ひつじまでゐて秋の雲

今年の9月は雨ばかりだった。統計によれば、東京では平年の3倍近い雨が降ったという。秋といえば「天高し」の季節である。夏の湿った空気が去り、秋晴れの透き通る空の美しさが際立つ季節である。雲の形も夏とは違う。夏の雲の代表は入道雲だが、秋には鰯雲や鯖雲や、一つ一つの塊が大きく見える羊雲などのうろこ状の雲が現れる。うろこ状の雲の並びには、雲の上下の温度差によって起こる小さな対流が関わっているという。俳人の森澄雄はこうした秋の雲について《生涯にいくたびか全天鰯雲》と詠んだ。また加藤楸邨は、《鰯雲人に告ぐべきことならず》の句を残している。いずれも人生や生き方について考えさせられる俳句である。

俳句フォトエッセイ

絶望は希望への種小鳥来る

ある人から『絶望名言』という本を紹介された。NHKのラジオ深夜便のコーナーを書籍化したものらしい。面白そうなので、早速取り寄せた。カフカから始まり、宮沢賢治まで12人の「絶望名言」が並んでいる。文学者だけではなく、ベェートーベンやピカソの言葉も俎上に上げられている。あとがきには、番組が出来るまでの経緯が紹介されている。冒頭にはカフカのぼくは人生に必要な能力をなに一つ備えておらずただ人間的な弱みしか持っていない無能、あらゆる点で、しかも完璧に。という言葉が取り上げられている。この「開き直り」に舌を巻く。開き直ることが希望への一歩かもしれないと思った。シェークスピアの明けない夜もある。