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斎藤茂吉

俳句フォトエッセイ

風入や我に不用な本ばかり

ある句会で「風入」という季語に出会った。どういう意味か歳時記で調べてみたら「虫干」の傍題とわかった。曝書も同様な意味だ。折角出会っても使わないと忘れてしまうので、ちょっと使ってみたというわけだ。我が家の書斎は、父の書斎だ。父が生きている時は、床から本が積み上がり足の踏み場もないほどだった。どこに何があるのかもわからなかった。その書斎を父の盟友の坂口昌明さんが、わかり易く整理して下さった。雑誌などもよく整理され父の仕事が俯瞰できるようになった。母が亡くなり、ぼくは12年前から父の書斎を自分の書斎のように使っている。引っ越してくる時に自分の本を大整理した。

俳句フォトエッセイ

やうやくに蝉時雨とはなりにけり

「色んなところに行ってますね!」とか「精力的ですね」などとFacebookやInstagramを見た友人から言われる。本人はその気はないのだが、見ようによっては生き急いでいるように見えなくもない。写真の場所は杉並区の蚕糸の森公園である。「蚕糸」は「さんし」と読む。養蚕の「さん」だ。友人から日本舞踊の会の案内をいただいた。その会場のすぐそばにあった。駅で言えば、地下鉄丸の内線の東高円寺である。かつて農林水産省の蚕糸試験場があった場所だ。公園の中から聞こえてきたのは、「蝉時雨」である。今年はじめて聞く「蝉時雨」だ。朝、一匹の蝉の死骸が我が家の玄関に落ちていた。