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花びら

俳句フォトエッセイ

花木槿うす紫の濡れそぼる

友の家に行く途中に木槿の花を見つけた。どちらかといえば、少数派の薄紫色。それも半八重だ。雨に濡れてひっそりとした風情があり、つい立ち止まってしまった。木槿は、一般に一日花と言われる。朝咲いて、夕方には花がしぼむからだ。しかし、この木槿は夕闇が迫っているのに一向にしぼむ気配がない。木槿という花を知ったのは、芭蕉の『野ざらし紀行』の句《道のべの木槿は馬にくはれけり》からである。実物を初めて見たのは、江東区の芭蕉記念館である。ここの庭には芭蕉が詠んだ植物が所狭しと植えられており、「馬にくわれたのはこの木槿か」としげしげと眺めた記憶がある。それ以降、町のあちらこちらに木槿の花が咲いていることを知った。

俳句フォトエッセイ

星の如闇を埋むる桜かな

夕飯を食べた後、散歩に出かけた。ようやく体調が元に戻ったということだ。3月の後半はとても歩く気力はなかった。風邪か花粉症かわからないが、微熱のような症状があり、体が重くだるかった。それがようやく抜けたようだ。くねくねした道を通り綱島街道まで出て、そこから戻るというのが基本コースだ。早足だと15分から20分。今日は、綱島街道を通り越して住吉桜の様子を見てきた。大分葉桜になっていた。花の塵が木の根元に吹き寄せられ、二ヶ領用水には花びらが流れていた。「次の日曜日まではもちそうにない」と思いながら、帰路についた。若い時は、ぼくの辞書に「歩く」という言葉はなかった。