俳句フォトエッセイ2026.10.02花木槿うす紫の濡れそぼる小山正見友の家に行く途中に木槿の花を見つけた。どちらかといえば、少数派の薄紫色。それも半八重だ。雨に濡れてひっそりとした風情があり、つい立ち止まってしまった。木槿は、一般に一日花と言われる。朝咲いて、夕方には花がしぼむからだ。しかし、この木槿は夕闇が迫っているのに一向にしぼむ気配がない。木槿という花を知ったのは、芭蕉の『野ざらし紀行』の句《道のべの木槿は馬にくはれけり》からである。実物を初めて見たのは、江東区の芭蕉記念館である。ここの庭には芭蕉が詠んだ植物が所狭しと植えられており、「馬にくわれたのはこの木槿か」としげしげと眺めた記憶がある。それ以降、町のあちらこちらに木槿の花が咲いていることを知った。木槿にはいろいろな色があるが、白い花びらの中心が紅色になっている木槿のことを「底紅」という。実に妖艶な花だが、茶人の千宗旦が好んだことから「宗旦木槿」と呼ばれる。茶の湯で木槿が取り上げられるのは、その一日花という性格と茶の湯の「一期一会」がよく響き合うからかもしれない。三田村弘子は、《一生といへど一日花木槿》と詠んでいる。都政新報9/8付 「暮らしを楽しむ俳句フォト」47この句の季語秋木槿むくげ初秋、白や薄紫の花を咲かせる。朝に開いて夕方にしぼむ一日花。俳句フォト歳時記
友の家に行く途中に木槿の花を見つけた。どちらかといえば、少数派の薄紫色。それも半八重だ。雨に濡れてひっそりとした風情があり、つい立ち止まってしまった。
木槿は、一般に一日花と言われる。朝咲いて、夕方には花がしぼむからだ。しかし、この木槿は夕闇が迫っているのに一向にしぼむ気配がない。
木槿という花を知ったのは、芭蕉の『野ざらし紀行』の句《道のべの木槿は馬にくはれけり》からである。実物を初めて見たのは、江東区の芭蕉記念館である。ここの庭には芭蕉が詠んだ植物が所狭しと植えられており、「馬にくわれたのはこの木槿か」としげしげと眺めた記憶がある。それ以降、町のあちらこちらに木槿の花が咲いていることを知った。
木槿にはいろいろな色があるが、白い花びらの中心が紅色になっている木槿のことを「底紅」という。実に妖艶な花だが、茶人の千宗旦が好んだことから「宗旦木槿」と呼ばれる。茶の湯で木槿が取り上げられるのは、その一日花という性格と茶の湯の「一期一会」がよく響き合うからかもしれない。
三田村弘子は、《一生といへど一日花木槿》と詠んでいる。
都政新報9/8付 「暮らしを楽しむ俳句フォト」47