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香り

俳句フォトエッセイ

こぼれても亦こぼれても萩の花

今年は、残暑もあまり感じないままに秋が深まってきた。いつの間にか曼珠沙華が咲き、金木犀の香りが漂ってくる。しかし、秋の花の代表は、やはり萩だろう。草冠に秋と書いて「萩」。字そのものから、萩は秋の花であることがわかる。詩歌の世界では萩は秋の欠かせない題材である。遡れば、万葉集でも萩を詠んだ歌は多いという。山上憶良は、秋の七草の先頭にこの「萩」を挙げている。俳句の世界で有名なのは、『おくのほそ道』での芭蕉と、その旅を共にした曾良の句である。芭蕉は、市振の宿で伊勢に向かう遊女を哀れに思い、同行させてほしいという願いを断りながらも《一家に遊女も寝たり萩と月》と詠んだ。

俳句フォトエッセイ

花桃の庭にて若き爺と爺

二人とも喜寿であるが、まだまだ生きられそうな顔をしているではないか。半年ぶりの出逢いだ。昨年の秋、長野県小海町で「大花野の会」を彼は企画してくれた。恩のある友人だ。大学時代からの付き合いだから、中が抜けているとしても50年以上だ。昨日の夜、電話があった。こちらに出てきていると言う。彼の娘さん一家が南武線の沿線に暮らしている。早速会おうと言う話になった。宿河原に桜を見に行くことにした。宿河原から始まる二ヶ領用水沿いの桜並木は川崎の桜の名所でもある。この数日の「暑さ」で、桜は既に八分ほど咲いている。開花からあっという間だ。「三日見ぬ間の桜かな」とはよく言ったものだ。昼食を何処で取るか?