俳句フォトエッセイ2026.10.16こぼれても亦こぼれても萩の花小山正見今年は、残暑もあまり感じないままに秋が深まってきた。いつの間にか曼珠沙華が咲き、金木犀の香りが漂ってくる。しかし、秋の花の代表は、やはり萩だろう。草冠に秋と書いて「萩」。字そのものから、萩は秋の花であることがわかる。詩歌の世界では萩は秋の欠かせない題材である。遡れば、万葉集でも萩を詠んだ歌は多いという。山上憶良は、秋の七草の先頭にこの「萩」を挙げている。俳句の世界で有名なのは、『おくのほそ道』での芭蕉と、その旅を共にした曾良の句である。芭蕉は、市振の宿で伊勢に向かう遊女を哀れに思い、同行させてほしいという願いを断りながらも《一家に遊女も寝たり萩と月》と詠んだ。萩には、どことなくさびしく、可憐なイメージがある。また、江戸からずっと芭蕉に従ってきた曾良は、体調を崩し芭蕉と別れることになった。その際に詠んだ句が《行き行きてたふれ伏すとも萩の原》である。萩で有名なのは、鎌倉の宝戒寺だ。萩の寺として親しまれている。また東京の向島百花園には萩のトンネルがある。機会があれば足を伸ばしてみてはいかがだろう。都政新報9/29付 「暮らしを楽しむ俳句フォト」49この句の季語秋萩はぎ秋の七草のひとつ。枝垂れる細い枝に、紅紫の小花を咲かせる。「萩」の俳句フォトをもっと見る(6句)俳句フォト歳時記
今年は、残暑もあまり感じないままに秋が深まってきた。
いつの間にか曼珠沙華が咲き、金木犀の香りが漂ってくる。しかし、秋の花の代表は、やはり萩だろう。
草冠に秋と書いて「萩」。字そのものから、萩は秋の花であることがわかる。
詩歌の世界では萩は秋の欠かせない題材である。遡れば、万葉集でも萩を詠んだ歌は多いという。山上憶良は、秋の七草の先頭にこの「萩」を挙げている。
俳句の世界で有名なのは、『おくのほそ道』での芭蕉と、その旅を共にした曾良の句である。
芭蕉は、市振の宿で伊勢に向かう遊女を哀れに思い、同行させてほしいという願いを断りながらも《一家に遊女も寝たり萩と月》と詠んだ。
萩には、どことなくさびしく、可憐なイメージがある。
また、江戸からずっと芭蕉に従ってきた曾良は、体調を崩し芭蕉と別れることになった。その際に詠んだ句が《行き行きてたふれ伏すとも萩の原》である。
萩で有名なのは、鎌倉の宝戒寺だ。萩の寺として親しまれている。また東京の向島百花園には萩のトンネルがある。機会があれば足を伸ばしてみてはいかがだろう。
都政新報9/29付 「暮らしを楽しむ俳句フォト」49