散歩道花の塵にもある風情
東京の桜の季節は終わりに近づいている。各地で行われていた桜まつりも無事に幕を閉じたことだろう。開花から約3週間。桜は様々なドラマを我々に見せてくれた。咲きはじめは「初桜」。初々しく可憐だ。それが満開、花盛りとなるにつれて艶やかになる。《花の雲鐘は上野か浅草か》は芭蕉の有名な句だが、満開の桜は街の様相まで一変させてしまう力がある。「花冷」という寒さもこの美しさを引き立てるスパイスのようなものだろう。桜の不思議は、散り際にもドラマがあることだ。「桜吹雪」と言えば時代劇の遠山の金さんを思い出す人もいるかもしれない。高浜虚子の弟子だった高野素十は《空をゆく一かたまりの花吹雪》と詠んだ。



