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高浜虚子

俳句フォトエッセイ

散歩道花の塵にもある風情

東京の桜の季節は終わりに近づいている。各地で行われていた桜まつりも無事に幕を閉じたことだろう。開花から約3週間。桜は様々なドラマを我々に見せてくれた。咲きはじめは「初桜」。初々しく可憐だ。それが満開、花盛りとなるにつれて艶やかになる。《花の雲鐘は上野か浅草か》は芭蕉の有名な句だが、満開の桜は街の様相まで一変させてしまう力がある。「花冷」という寒さもこの美しさを引き立てるスパイスのようなものだろう。桜の不思議は、散り際にもドラマがあることだ。「桜吹雪」と言えば時代劇の遠山の金さんを思い出す人もいるかもしれない。高浜虚子の弟子だった高野素十は《空をゆく一かたまりの花吹雪》と詠んだ。

俳句フォトエッセイ

東京の真ん中にゐて杜鵑草(ほととぎす)

豊島区の目白庭園に出掛けた。住宅地の真ん中にあるこの公園は1990年に作られ日本庭園である。それほど広くはないが(と言っても千坪近くある)池あり、滝ありでなかなか風趣に富んだ庭園だ。西武線の線路脇に位置しているのに、電車の音は気にならない。近くには、鈴木三重吉が起こした「赤い鳥社」の跡地があり、説明板が立っていた。目白庭園の入園料は無料。池の端に建つ六角浮見堂に座り、色づき始めた樹々を眺めると都心にいることを忘れる。結婚式の前撮り写真であろうか、白無垢や打掛を着た花嫁さんの姿が眩しい。七五三の記念写真を写している親子もいる。野草園と示された一角には、秋明菊や杜鵑草が花をつけていた。

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夜の秋本屋は何でもマーケット

「夜の秋」とはよく言ったものだ。風があると夜はそれなりに涼しい。高浜虚子に「夜の秋を感ずる肩のあたりかな」の句がある。先日、用事があって川崎駅にある本屋、有隣堂に行った。大きな本屋の中を歩くのは久しぶりだ。驚いた。本屋だから商品の大部分は「書籍」であることに違いはない。しかし、それだけではない。入口の辺りには「香り」のコーナーがあり、各種のお香が並べられていた。写真の左下にあるのは万年筆だ。右上のビジネス書の棚にかかっているのはペンケースとスタンプである。バッグや小物入れまで売っている。レジの前にはビスケットやピーナッツまであった。