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散歩道花の塵にもある風情

小山正見

東京の桜の季節は終わりに近づいている。各地で行われていた桜まつりも無事に幕を閉じたことだろう。
開花から約3週間。桜は様々なドラマを我々に見せてくれた。
咲きはじめは「初桜」。初々しく可憐だ。
それが満開、花盛りとなるにつれて艶やかになる。
《花の雲鐘は上野か浅草か》は芭蕉の有名な句だが、満開の桜は街の様相まで一変させてしまう力がある。
「花冷」という寒さもこの美しさを引き立てるスパイスのようなものだろう。
桜の不思議は、散り際にもドラマがあることだ。
「桜吹雪」と言えば時代劇の遠山の金さんを思い出す人もいるかもしれない。
高浜虚子の弟子だった高野素十は《空をゆく一かたまりの花吹雪》
と詠んだ。「桜吹雪」「花吹雪」は最もよく桜の美しさを表す季語の一つかもしれない。
さらに桜は散った後にも美を残してくれる。水に浮かぶ「花筏」をご覧になった方も多いだろう。千鳥ヶ淵の花筏は目を奪うほどだ。
歳時記を開けば「花の塵」とか、「花の屑」という言葉にも出会う。疎まれる言葉にも日本人は美しさを感じてきたのだろう。
そう考えると、桜はまだまだ我々を楽しませてくれそうである。

都政新報4/7付 「暮らしを楽しむ俳句フォト」27