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10年前

俳句フォトエッセイ

梅雨深し薪で焚きたる湯の温み

【銭湯紀行】その14奥沢松の湯ネットで調べたら、奥沢駅から2分の場所に銭湯があることがわかった。行ったら、シャッターがまだ閉まっていた。てっきり営業開始を午後3時と思い違いしていたのだ。営業開始は、3時20分。火曜日と水曜日は休みである。近くで時間を潰して、再度挑戦。フロントではなく、昔ながらの番台。靴箱の鍵がロッカーの鍵を兼ねている。ぼくの前にお客さんは一人だけ、そのうちおじいちゃんが一人、若い男が一人。天井も高く広い洗い場で出会ったのは、結局この3人だけだった。浴槽は3つ。それぞれ違ったジェットが楽しめる。横からの吹きつけるもの、足元から湧き上がるもの、渦を巻くように流れるもの。

俳句フォトエッセイ

じつとして時待ちをれば春の声

ギックリ腰は動かないのが一番。医者に行ってもどうにもならない。諦めて一日寝ていたら、どうにかゆっくり動けるようになった。体の不調は突然やってくる。10年前、朝起きたら突然顔面神経麻痺になっていた。唇の半分が動かない。ストローで水も吸えない。笑っても顔が歪む。顔面神経麻痺の治療は、初期の大量のステロイドの投与が成否を分けると知った。既に妻が認知症を発祥してをり迷ったが、思い切って入院することにした。ステロイドの点滴を行い、ブロック注射を毎日打った。退院の時が来ても顔面麻痺は一向に治らなかった。「本当に治るのか」不安があった。

俳句フォトエッセイ

鬼灯を供へて母と対面す

母が他界したのは、2014年3月23日だから、もう10年以上前のことである。にもかかわらず、「お母さまにお供えください」と鬼灯をいただいた。それで、ぼくは鬼灯を供え、母と写真と久しぶりに対面した。我が家はちょっと変わっている。一切宗教的なことをしない家なのだ。まず、戒名がない。そして、位牌もない。葬式の時以外お経をあげてもらったこともない。これが父の考えだったのか、母の考えだったのか話したことは一度もなかった。考えてみるとお盆とか、お彼岸には意味がある。定期的に死者に、先祖に、向かい合うことができるからだ。ぼくの場合は、たまたま思いついた時に、写真と対面し線香を立てる。