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入り組んだ路地の奥なる紅葉かな

小山正見

 東京には良い庭園がたくさんある。豊島区立目白庭園もその一つだ。
 JR山手線目白駅から歩いて五分ほど、閑静な住宅街の奥にある。
白壁の長屋門を潜るとそこは別世界の趣だ。大きな池を中心にした池泉回遊式庭園で滝の音が響く。池には、青鷺が一羽銅像のように動かない。緋鯉は優雅に泳いでいる。
 大名か旗本の屋敷跡かと思ったらそうではない。1990年に豊島区が新たに作った日本庭園というから驚きである。
 四季を通して草花に触れられるよう、様々な植物が植えられている。山野草エリアでは杜鵑草(ほととぎす)や沙参(しゃじん)等珍しい花にも出会うことができた。
 園内には「赤鳥庵」という茶室がある。これは児童文学者の鈴木三重吉の主宰した「赤い鳥社」が庭園の近くにあったことに由来するそうだ。
 閑かな木々の下では七五三を迎える親子や結婚式を控えたカップルの写真の前撮りが行われていた。秋明菊の可憐な白が、花嫁さんの艶やかな打掛を引き立てていた。