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冬ざるる復興公園の静寂(しじま)

小山正見

一ヶ月ほど前、復興公園については書いた。写真のこの場所はその時と同じ千代田区立九段小学校に隣接した復興公園である。すぐそばに東郷平八郎元帥が住んでいたことから、通称東郷元帥記念公園という。関東大震災の教訓から公開緑地が火事の延焼を食い止めたという教訓が生かされた形だ。
この復興公園で思い出すのはぼくの勤めていた八名川小学校である。同じように復興公園が併設されている。
八名川小のある江東区森下は、1945年3月10日の東京大空襲で最も被害の大きかった地域である。
火が燃え盛る中で小学校の校舎に多くの人が避難した。熱のため、校舎の中で亡くなった方も多かったようだ。助かった一人、浅野さんは、窓から抜け出しプールに飛び込んで助かったという。夜が明けて、公園の向こうの焼け野原に登ってくる朝日の大きさをまざまざと覚えていると話してくれた。八名川公園には死体の山が作られ、そこに土がかけられていたという。
甲斐正子さんもこの空襲に遭った一人だ。卒業式のために疎開先から戻って空襲に遭った。両親は亡くなり、姉妹二人だけで残された。
その甲斐さんと元住吉で出会った。妻が主宰したお食事会のメンバーで、俳句の会などにも参加してくれた。ぼくが八名川小学校の校長だったと知って
とても親近感を持って接してくれた。お一人で頑張っておられたが、2年前に老人ホーム入居された。
入居はぼくも勧めた。
①冬でも暖かい
②ご飯の心配が要らない
③何かあっても人がいて安心
④話し相手がいる
手紙を書いたり、八名川小のカレンダーを渡したりした。面会にも行った。
先日、その甲斐正子さんが亡くなった。92歳だった。
心よりご冥福をお祈りいたします。🙏