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古墳百段登り切つたり夏盛ん

小山正見

所属する梓俳句会の宿泊吟行会であった。15年前、大変にお世話になっていたTさんに誘われて、創刊から同人となった。しかし、当時は俳句のことも結社のことも何一つ知らなかった。
「作品を出せ」
と言われてびっくりしたというのが実情だ。それから15年。年に40句は投稿を続けている。句集『大花野』は梓の10周年記念作品募集の中で生まれた。
幼稚だったぼくを俳句の世界で鍛えてくれたのが梓俳句会だ。
今回の合宿吟行会の目的地は熊谷だった。
高校の先生でもあるNさんが全てを取り仕切ってくれた。詳細なしおりを作って下さったが、ぼくが確かめたのは、「熊谷駅午前10時」という集合時刻だけだ。
そこで合流できれば、あとは何とかなる。コンビニのATMで、適当な金額を引き出して、財布に入れた。参加費を払わねばならない。こればかりはSuicaやクレジットというわけにはいかないだろう。
貸切バスで連れて行っていただいたのは、さきたま古墳群だった。思い出せば聞いたことがあるが、もちろん初めてだ。
車窓から田んぼが見える。

住宅とパッチワークの植田かな

大小幾つもの古墳が点在している。古代の人々はこんなところに暮らしていたのか。

古墳群全て水辺や葦茂る

気温がぐんぐん上がる。夏の空が眩しい。

埼玉と書きて「さきたま」夏の空

史跡の博物館もあり、まず見学した。

復元の須恵器大甕麦の秋
大王に仕へし剣や赤かがし

夏の日差しの中をみんなの後をついて古墳巡りした。冷たいものが飲みたくなる。水分を補給しなければならない。

エビアンか天然水か夏きたる

古墳までの階段が目の前に伸びる。百段あるという。勇気を出して登った。これが冒頭の句だ。
次に向かったのは通称行田タワーだ。ここは蓮が有名だが、咲くには半月ほど時間がいるようだ。タワーに登ると周りに田圃が広がっている。毎年田圃アートが行われる。「ここなのか」この歳になって初めて知ることの何と多いことか。

旗点々田圃アートとなる代田

俳人はこうした吟行を積み重ねて物事を知っていく。ぼくも可能な限りその跡をついていくことにしよう。