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始まりは川崎市役所燕来る

小山正見

「燕来る」は春の季語だ。「燕の子」は夏。そして「燕帰る」が秋である。
「小山正見のかわさき俳句フォト」は春に始まった。東京新聞川崎支局から依頼が来たのが2024年の3月の初め。連載の開始は4月だった。しょっぱなに何を取り上げるか、今の川崎の発展を象徴するものが何かを考えた。
そして辿り着いたのが、市役所の展望台だった。
ぼくが子どもの頃、川崎は悪名高い公害の街だった。煤煙で空が煤け、川崎喘息か蔓延していた。それが川崎の発展の誇りでさえあった時代があったのだ。
公害反対の運動が幅広く行われ、行政も本腰を入れるようになり、公害は克服された。
市役所の展望台こそ、公害克服の象徴的な場所である。
夕焼けの富士山の写真を撮りたいと思った。ところがなかなか撮れない。春は空が霞む。富士山の雲もなかなか取れない。
「今日は晴れている」
それなのに、富士山には雲がかかっている。結局、雲のない富士山の写真が撮れたのは4回目だった。
ようやく撮れてホッとした。
こうして、連載が始まった。川崎の各地を回った。川崎に干潟があることも、大衆演劇の劇場もあることも知った。
川﨑空襲など戦争の傷痕にも触れた。
そして、人々の日々の営みが川崎を支えていることが心に沁みた。
今月で連載は終了したが、まだまだ川崎には触れていない場所がある。改めて川崎探訪を続けたいという思いだ。