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春光にハレルヤ銀座四丁目

小山正見

約束の時刻までにはまだ余裕があった。写真は日産ビルの3階から撮った一枚である。昔のままの和光が写っている。この銀座四丁目の角のすぐそば、鳩居堂の隣、大黒屋の7階のギャラリーでデサント展が行われている。
高校時代からの親友Mが出品している。
高校3年の冬休み。Mとぼくは冬の八ヶ岳に出かけた。Mは絵を描くために、ぼくは受験の参考書を持って。
道端にテントをはろうとしたら大学生のグループに「そのテントで寝たら死ぬぞ」と言われた。ぼくたちの持ってきたテントは夏山用だったのだ。そんなことも知らずに冬の山に出かけたのだ。結局その晩は赤岳鉱泉に泊まって一命を取り留めた。
ぼくたちは数日赤岳に逗留した。
寒かった。水彩の絵の具が画用紙の上でジャリジャリと凍った。ストーブをガンガンに焚いても室内の温度は3℃にしかならない。
しかし、夜空の星の美しいこと。その時から60年、あれを超える星空にぼくは出逢っていない。
Mは美大に進み、しばらく会うことはなかった。
ところがMもいつの間にか教師になっていた。最後はお互い隣り合った学校で校長職を務めたのは神様のいたずらかもしれない。
デサント展で毎年Mの絵を見ることは楽しみである。しかし、本当の楽しみは別にある。それは高校の同級生が集まることだ。
高校時代、最も気のおけない友であったNも来る。今でも、ぼくはNに会うと心がほどける思いがする。常連だったSが亡くなり寂しかったが、その代わりに昔の仲間3人が来てくれた。
いつまで続くかわからない。来年はぼくが欠ける番かもしれないが、とにかく今は銀座四丁目での再会を喜ぼう。