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暖かや我に戻りぬハンチング

小山正見

春一番の吹いた日、ぼくは南野川ふれあいの森にいた。Oさんから教えていただいた場所だ。
Googleマップで調べたら地下鉄グリーンラインの東山田から歩く道が紹介された。それから先は3/1付東京新聞の「小山正見のかわさき俳句フォト」に記した通りだ。
帰りのルートを調べたら武蔵小杉までのバスがあることがわかった。中原で降りれば、妻のお世話になっているグループホームまで近い。
バスはすぐ来た。東急バスである。
中原でバスを降りて気がついた。何となく頭が寒い。
「あっ、忘れた」
その日被っていたハンチング帽をバスに忘れたのだ。
スマホで東急バスの忘れ物センターを検索したら、すぐに電話番号がわかった。最近は電話番号のない問い合わせ先の方が多い。これだとひどくめんどくさい。
「よかった」
ハンチングは、東山田営業所に届いていることがわかった。
土曜日、帽子を忘れた日のように暖かかった。
営業所はすぐにわかった。
「これにサインしてください」
と差し出された紙には
「濃い赤、濃い赤〜茶色っぽい柄付のハンチング。裏地は緑系の色合いで街並みが描かれている」
とある。
こんな細かい書類まで用意されている。少し、申し訳ない気がした。
裏地の緑を思い出した。
Viridianの小林愛さんに作っていただいた帽子だ。今や帽子はぼくのトレードマークになっている。
気分が良くなり、春の日に誘われて帰りは北山田駅まで歩いた。街並みが何となく帽子の裏地の模様と似ているような気がした。