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水温むペットボトルや花揺るる

小山正見

素敵だと思って、思わず写真に撮ってしまった。
実は、川崎市にあるK小学校のトイレの中である。目の前にこのペットボトルがあった。中に花やみどりがある。
何とも気持ちがいい。光線の具合で動かないはずの花が揺れているかに見える。
縁があって、昨年からこの学校に出向き、3年生に俳句を教えている。
玄関や靴箱にはぼくを歓迎してくれる掲示あり何となく嬉しい。気遣いをしてくださっていることが伝わってくる。
子どもたちも素直で前向きである。
今日の学級では句会で
「勉強をたくさんしよう春の夜」
が投票で3位に入った。
「宿題はやりたくないよ春の夜」のような句ならわからないでもないが、3年生で「勉強をたくさんしよう」という句が上位に入るとは驚きだ。もしかしたら10年を超える俳句教育活動の中で初めての経験かもしれない。
今日の授業で目を惹かれたのは、例えば次のような句である。
「ヨーグルト色んな種類春の朝」
確かにヨーグルトは色々だ。プレーンもあればいちご味もある。そこに目をつけたのは生活を反映しているからだろう。
「ラゾーナにたいこの達人春日向」
実感に満ちている。おそらく、自分の体験だろう。後で作者は自分でも太鼓を習っていると聞いた。それを聞くと、「達人」という言葉が特別の意味をもってくる。太鼓を叩いていたのは尊敬する太鼓の先生だったのかもしれない。
「バレンタイン友チョコ作る十四日」
という句もあった。バレンタインは大分廃れたと思っていたが、「友チョコ」の文化は子供の世界には、まだ残っているのかもしれない。
この日は、ある大学の先生が「授業を見たい」と同行された。
自分で自分の授業は評価できない。それにいつも狙い通りの授業ができるとはかぎらない。分析して教えていただけるとありがたい。期待して結果を待つことにする。
こうした子供たちの素直さはどこから来ているのだろうか。その答えの一つを校長室で見つけた。
ぼくは既に20年以上色々な学校の校長先生にお会いして来たが、これほどに体を動かし子供たちと接している先生は初めてと言っても良い。中休みになると、ひっきりなしに子どもたちが校長先生に会いに校長室に来る。教室に入れない子供の相手をする。先生方に聞くと「席に座ってるところを見たことがない」という。
象徴的なことがあった。
歴代の校長先生の写真が校長室にはあるが、一つ子供の描いた似顔絵があった。聞くと、「前校長の写真がなかなか出来上がらなかったので」ということなのだ。発想が実に自由で楽しい。
好かれる理由がわかったような気がした。
この学校には至る所に花が満ちているかのようである。