昨日はさくらんぼだったが、今日は葛切だ。
三代目茂蔵という豆腐が安くて美味い店がある。埼玉の春日部が本拠地で、関東を中心に400店以上が展開されている。
ここで葛切を売っていた。税込で183円だった。
葛切には思い出がある。僕ら（私と邦子）が結婚したのは1972年の6月だった。二人とも24歳だった。神楽坂にあった都立教育会館で結婚式をあげ、新婚旅行は京都だった。俵屋に次いで名高い炭屋という高級旅館に泊まった。随分気張ったものだ。
その時に食べたのが祇園四条にある鍵
善良房の葛切だった。
高級旅館で懐石料理も食べたはずだが、まるで覚えていない。
覚えているのは鍵善の葛切だけだ。
2016年、既に認知症を発症していた妻と京都を訪れた。その時はポン友の横澤茂夫の陶芸の個展を見るという目的もあった。高台寺の庭園を見に行っているし、多少の観光はしたと思うが、もう一つの重大な目的は鍵善の葛切を食べることだった。
店の前で写真を撮った。店は昔と恐らく変わっていなかったのだろうが雰囲気が多少違うように感じられた。僕らの方が変わったからだろう。
同じ緑色の器が印象的だった。二人で食べる葛切は昔と同じように美味かった。
それからまだ10年経っていない。
今は一人で183円の葛切を食べている。