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俳句フォトエッセイ

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三丁目今ジャスミンの花盛り

「三丁目」というと、なんとなく昭和の匂いがする。映画「三丁目の夕日」の残像のせいだろう。先日、私も所属する日本学校俳句研究会の仲間が感泣亭に来てくれた。「春のつどい」と称して「俳句フォト」の研修会をして、あとは飲み会になった。会の趣旨としては、飲み会ほ方が中心である。新島からわざわざY先生が来てくれて、とても嬉しかった。日本学校俳句研究会は、今から十二年前の2012年に誕生した。『楽しい俳句の授業アイデア50』の出版記念会がそのまま日本学校俳句研究会の発足式になった。https://www.gakkouhaiku.net/毎年、学校俳句交流会を催し各地の実践を掘り起こした。

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春の宵金色夜叉の動き出す

金色夜叉とは、明治の文豪尾崎紅葉の小説の題名である。熱海の海岸にある貫一とお宮の像は観光名所になっている。「来年の今月今夜、この月を僕の涙で曇らせてみせる」の台詞は有名だ。この小説は、五年間にわたって、当時の読売新聞に連載されたもので、よっぽど人気があったのだろう。前編、中編、後編の後に続金色夜叉、続々金色夜叉、新金色夜叉と続き、結局未完のままで終わる。作者の尾崎紅葉が三十七歳の若さで亡くなったからである。この紅葉といい、子規といい、近代の日本語を作った大作家は若くして亡くなっている。漱石は長生きと思われているが、それでも四十九歳で亡くなっている。

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ゴーデンウイーク空つぽになるパーキング

快晴である。今日は暑くなる予報だ。我が家のそばにあるパーキング。いつもは停めるのが難しいほど、混んでいる。そのパーキングに車一台もない。シェア用の車もない。そうか、ゴールデンウィークだからか。この時期になると必ず高速道路の渋滞がニュースになる。新幹線もかなりの混み具合だ。それに恐れをなしてか、ぼくはゴールデンウィークに旅行に出たことがない。しかし、思い出したことがある。ゴールデンウィークに都内を車で走り回ったことだ。実に空いていて快適だった。車の免許を取り立てで、ドライブがしたくてたまらなかった時期だ。考えると今から五十年以上昔の話になる。

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したたかに道を打ちたる春の雨

昨日は、寒い雨になった。この時期の寒さを何と表現すればいいのだろう。「花冷」の「花」はもう散ってしまっているし・・・「リラ冷」は今頃だろうが、近所に「リラ」はない。使うとすれば「木の芽冷」?「若葉寒」でもよいが、これは一応夏の季語になっている。「春雨じゃ濡れてまいろう」は、月形半平太の台詞である。舞台は京都の三条河原だ。本当に京都では、霧のようなこぬか雨が降るのだという。「春雨」とはこんな雨のことだ。俳句の歳時記がもとにしているのは京都の気候である。『日本の猫は副詞で鳴く、イギリスの猫は動詞で鳴く』(飯島英一著朱鳥社刊)によれば、日本の言葉には情緒が貼り付いていると言う。

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新緑の映えて疏水の石畳

富士市に住んでいるS君を呼び出して三島で会った。S君は児童文化の大家で、昔ながらの友人である。彼は退職後一時九段にある昭和館のガイドをしていたこともある。口八丁、手八丁で話が面白くて飽きない。生き方に共感するところが多い。「何処に行きたい?」と聞かれたので、「桜屋のうなぎ」と答えた。三島は鰻屋が多い。中でもうなぎの桜屋は有名だ。創業は安政三年だという。一昨年もS君に連れてきてもらった。予約が取れないので、並ぶしかない。覚悟して三島広小路にある桜屋に向かった。途中、楽寿園の前を通り、源兵衛川に出る。三島は水の町だ。至る所に湧き水がある。

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蜃楼沼津漁港の最安値

野球でも有名な沼津にある加藤学園に向った。高校生に俳句を教える為である。今年で三回目だ。午後の授業なのだが、少し早めに家を出て新幹線で三島に。乗車時間はたったの45分。あっという間だ。在来線に乗り換えて沼津。深海水族館があると聞いたので、行ってみたくなったのだ。バスで沼津漁港に行く。この近くにあるに違いない。深海水族館の看板はあるが、所在が判然としてない。漁港の反対側に展望台らしきものがある。とりあえず、そちらに向かう。松林の中に杉原千畝夫妻の顕彰碑があった。杉原千畝は外交官で、戦時中リトアニアに赴任しており、ユダヤ人にビザを発行し「東洋のシンドラー」と呼ばれ、有名になった人だ。

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大川の流れも明日の春を待つ

隅田川沿いを歩いていたら、突然十四年前にタイムスリップした。退職を控えたある日、NHKから電話がかかってきた。取材の申し込みだった。当時始めた「Twitter俳句」を取材したいというのだ。若者は、Twitterを使いこなしているが、老人で使っている人は少なかったので、目をつけられたらしい。それに「俳句」は如何にも老人らしくていい。(笑)今も私は老人だが、十四年前もすでに老人だったのだ。私は、Twitterを主にパソコンでしていたのだが、丁度取材の一週間前にiPhoneを買ったばかりだった。手描き文字入力ができることが購入の決め手だった。卒業式を終えた3月26日が取材日だった。

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また一機春の空へと飛び立ちぬ

肉眼でははっきり見えるのに、写真では全く見えない。拡大してようやく米粒ほどに見える。実は飛び立つ飛行機である。同じ風景でも「レンズ」が違うと見えるものが違うというのはおもしろい。写真の先にあるのは、羽田空港である。葦原の先、多摩川の向こう側に駐機している飛行機が見える。数分ごとに飛行機が飛び立っている。よく見ると、写真の右側のかすかに管制塔が写っている。川崎に干潟があると聞いて、探しに出かけた。いつものことだが、よく調べもせずに家を出た。川崎区にある大師河原水防センターは別名大師河原干潟館と言われる。干潟館というのだから、干潟はそのソバにあるに違いない。

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緑映ゆ太祖七百年大遠忌

満開の桜が散り始めた。あまりに良い天気なので、思い立って鶴見の總持寺に出かけた。鶴見の總持寺は、永平寺と並ぶ曹洞宗の大本山である。先日我が家を訪れてくれた大学時代の友人I君から總持寺の住職が大学時代のクラスメイトのM君だと聞いたからだ。M君は、元々I君の近くの寺の住職で親交があったらしい。そんなわけで、I君は、今年執り行われる總持寺の太祖瑩山七百遠忌の催しに参加すると言う。僕も行きたかったのだが、予定が合わなかった。そこで、一目でも總持寺を見ておく気になったというわけだ。壮大な寺だ!大きな伽藍がいくつも建ち並ぶ。敷地は十五万坪もあるという。僧侶を含めた職員の数は二百名に及ぶ。

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どうしても勿忘草をおまえに

勿忘草は、「わすれなぐさ」と読む。明治時代に日本に入って来たらしいが、野生化し、全国分布している。元々は多年草のようだが、暑さに弱く夏を越せないとも聞く。上田敏の名訳詩集『海潮音』には「わすれなぐさ」という訳詩がある。ドイツの詩人ウィルヘルム・アレントの詩だ。流れの岸の一本は、御空の色の水浅葱、波、ことごとく、口づけしはた、ことごとく、忘れゆく叙情的できれいな詩だ。しかし、僕が勿忘草と出会ったのは学生運動華やかな大学生活の中であった。「国際学連の歌」とか「がんばろう」など勇ましい歌が歌われる中で、芹洋子が歌いヒットした「忘れな草をあなたに」はしみじみと心に届いた。妻と出会った頃だ。