【初心者歓迎】俳句フォトの会 会員申込はこちら

ITに頼る生活青葉寒

小山正見

学生時代はもちろん、教職に就いた時にもまだワープロやコンピュータはなかった。
学校の諸文書も学級通信も全て手書きだった。
その生活にコンピュータが入り込んで来たのは、30代の半ばである。
東芝のルポというワープロが話題になった。確か100万円近くしたと思う。そのうち、富士通からオアシスのラップトップのワープロが発売になった。これが何と22万円。圧倒的な安さだった。しかし、画面は液晶でたった8文字。
ぼくが購入したのは、日立のワープロだった。確か、画面で7、8行は確認できたと思う。起動するには、5インチのフロッピーディスクを2枚入れて、機械が読み込みまでしばらく待つ。辞書機能は貧弱で「春休み」という単語すら「春」と「休み」に分けて入力しないと出なかった。プリンターは、ドットプリンター。一文字ずつタイプされていく。その印字されていく様子を見るのが楽しみだった。
価格は、60万円ほどした。当時では軽自動車が買える値段だ。無駄にしてはならないと、不器用なぼくが必死にブラインドタッチの練習をした。今でもちっとも上手にならないが、どうにかやっていられるのは、この時の練習のお陰である。
次に手に入れたのは、NECのパソコン9801だった。都立教育研究所に研究生として1年間派遣された。その時に行ったアンケートの分析をするためにLotus1-2-3という表計算ソフトを使った。アンケートの集計結果を比較し、印刷まで自動実行させるマクロを作った。朝起動させると、帰宅時までに結果が出ているのが面白かった。
この頃は、パソコン用に様々なワープロソフトが発売された。「松」とか「VJEツ-pen」、「一太郎」などである。いろいろ試したが、生き残ったのは「一太郎」だけだった。一太郎が生き残った理由は、事実上コピーフリーに近かったからだとぼくは見ている。Microsoftの「Word」が発売される前のことである。その後、Windows95が発売され、パソコン環境は飛躍的に変わった。発売されるパソコンにはWordが最初から組み込まれるようになると、あっという間にWordの世界になってしまった。ぼくは、2015年ぐらいまで一太郎を使い続けたが、ついにWordに屈した。
しかし、そのWordも今はほとんど使うことがない。
今、ぼくの入力環境は、iPhoneのフリック入力か、写真のiPadである。とにかく場所を選ばないのが最高だ。喫茶店でも場合によっては電車の中でも文章が書ける。
今後は音声入力も試してみたいものだ。
今では、文章ばかりかスケジュールやメモの入力もすべてスマホだ。
しかし、唯一の例外は手紙である。本当に心の中を伝えたい時は、手紙を書く。人から頂いた時もそうだが、内容だけでなく筆跡そのものに心が表れている。
ぼくは、十分にITの進歩の恩恵を受けている世代である。
しかし、よく考えると入力方法の進歩そのものが良いことなのかどうか時々ふっと疑問に思うこともある。