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アスファルト

俳句フォトエッセイ

台風来黒光りするアスファルト

この時期に2つの台風が関東に接近するのは珍しいのではないか。施設によっては土日の二日間を閉館とするところもある。追い討ちをかけるように、夜には大きい地震が起きた。それも震源地が富士山に近いとなると、「何かあるのではないか」と心配になったりする。ぼくの台風の記憶の最初は、多分昭和34年の伊勢湾台風である。矢上川が決壊し、我が家も水浸しになった。床下浸水程度である。水の中を下駄を履いて遊び回った。当時、各家庭のトイレは組み取り式だったはずだ。汚穢が流れ出し、不潔極まりなかったはずだ。今考えるとゾッとする。時代が飛んで、学校の管理職になってからの記憶。毎年の台風時の対応に苦慮した。

俳句フォトエッセイ

アスファルト黒く光らせ穀雨かな

4月の下旬から5月の初旬にかけて降る雨を「穀雨」という。穀雨とは「穀物をうるおす雨」という意味である。この言葉自体は中国前漢時代の思想書、淮南子の「雨生百穀雨」(うりゅうひゃっこく)に由来するとされている。雨こそが命の源泉であるという思想がそこにある。アスファルトに覆われている東京に暮らしていると、穀雨という実感は薄い。「ああ、また雨か」と憂鬱な気持ちになったりするばかりだ。しかし、一歩家の外に出てみると、新緑が美しい。けやきの葉はぐんぐんと緑を増し、いちょうの可愛らしい葉が日に日に成長していく。つつじの赤が一挙にその数を増し、街を彩り始める。これも「穀雨」の恵みに違いない。