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二辰巳小学校

俳句フォトエッセイ

夏来る憎つくき電信柱かな

今から70年近く前になるが、ぼくは写真の中央に立つ電信柱での出来事を鮮明に覚えている。確か、小学校5年生の夏だった。ぼくは自転車に乗り、この曲がり角に差し掛かった。その時に、向こう側から来たのは5トン積みのダンプカーだった。目の前に電信柱。ぼくは逃げ道を失い、自転車はダンプカーの後輪にあっという間に巻き込まれた。トラック特有の後輪差で巻き込まれたのだ。自転車の潰れる音がした。奇跡的に、ぼくは巻き込まれずに、跳ね飛ばされた。今はマンションの壁になっているそこは、幸いにも柔らかい垣根だった。あちらこちらに擦り傷を作ったが、頭も打たず一命を取り留めた。ぼくは運転手におんぶされて家に戻った。

俳句フォトエッセイ

街並みの古き記憶や蜃楼

江東区の枝川から豊洲へ向かう道である。ぼくは川崎に移り住む以前、つまり14年前までこの近くのマンションに暮らしていた。地下鉄の豊洲駅からこの道をよく歩いた。まだ工場が残る暗い道だった。ぼくの歴史を遡るとこの道を初めて通ったのは45年前である。第二辰巳小学校への転勤が決まり、門前仲町からバスに乗った。当時はマンションなど影も形もなかった。橋を越えた左側には、日新製糖の工場があった。右手にあったのは石川島播磨の工場群だった。夜になると裸電球の街灯だけがポツンと灯っていた。工場群を過ぎると忽然と現れたのが第二辰巳小学校のある都営団地だった。この道をぼくは10年通った。