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俳句授業

俳句フォトエッセイ

初夏の狗尾草の毛の気配

数年前までは、農地だった土地だ。今は、すっかり放置されている。毎週ぼくはここを通るが、見ると狗尾草が繁茂している。狗尾草は、秋の季語だ。しかし、秋になって生えてくるというわけではないのだ。狗尾草は、俳句授業の良い教材である。形が面白いし、揺れる。遊び道具にもなる。しかも身近にあり、親しみやすい。薔薇の花を授業に持ち込むには、お金がかかるが、狗尾草ならそこら中に生えている。道路端に生えている何本かを引き抜いても誰にも文句が言われない。もう穂を伸ばしているとは!かつて本で読んだことがある。人の目は出始めの頃のデジタルカメラぐらいの性能でしかない。

俳句フォトエッセイ

点々と百合の木の花風そよぐ

つい最近まで、百合の木というものがあることさえ知らなかった。まして、そこに花が咲いているとは!考えてみれば当たり前のことだが、想像が及ばなかった。この日はプラタナス、つまりすずかけにもまあるい玉のような花があることも知った。現在、一緒に江東区中学校俳句部を指導しているAさんのおかげである。花や木の名前がわかると句がグッと具体的になる。冒頭の句、子どもたちの句会に一緒に出した句だ。「風そよぐ」が如何にも安易で苦し紛れだ。思い付かなくても、時間の中でとにかく仕上げることが大事という社会通念を優先した形だ。江東区中学校俳句部は2012年に誕生した。ぼくが、俳句担当の職に就いて2年目のことだ。

俳句フォトエッセイ

春の虹俳句授業のアレやコレ

年度末が近い。今年の俳句授業も終盤にかかっている。今日は千代田区のK小学校、先日は国分寺市のR小学校に赴いた。(写真は本文と関係ありません)俳句教育推進員として勤務し始めた時からもう16年だ。一番多い時には、年間に500時間以上授業したこともある。そのほとんどの授業で子供たちは楽しんでくれた。途中経過が上手くいかなくても、最後の句会が子供たちに緊張感と楽しみを与えた。俳句の短さと句会の楽しさが子供たちを惹きつける大きな要因だったと思う。話をある程度聞いてくれる学級なら俳句の授業は例外なく成功する。しかし、上手くいった授業は忘れてしまう。記憶に残るのは、苦しかった授業での悪戦苦闘である。

俳句フォトエッセイ

冬の陽を浴びてライオンキングかな

江東区立有明小学校で今年初の俳句の授業だ。始まるのは、10時30分。寝坊して、家を出るのが遅くなった。幾分慌ててJRりんかい線の国際展示場駅を降りる。ここから有明ガーデンを抜けて、約20分歩けば有明小学校である。時計を見ると、まだ9時50分。間に合いそうだ。有明ガーデンに来て、ここに劇団四季の劇場があることを思い出した。劇団四季の常設館は、汐留など各地にある。その一つがここ、江東区有明もできたのだ。劇団四季のおかげで、ミュージカルが日本に根付いたと言ってもいいだろう。しかもすごいのは、ブロードウェイのようなロングラン上演を成功させたことだ。

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木漏れ日に誘(いざな)われたる小春かな

「小春」は冬の季語である。「春になる前触れ」と捉えている方もいるが、それは違う。冬になりたて、つまり今頃の季語であ。「小六月」も同様な季語だ。写真だけ見ると武蔵野の雰囲気だが、実は江東区だ。清澄庭園の隣の清澄公園である。明治小学校の5年生で俳句の授業をして、午後の句会のために八名川小学校に向かう途中だ。現職時代、この公園はよく通った。この公園を抜けると八名川小学校から門前仲町まで歩いて約20分。更に当時住んでいた塩浜の我が家まで20分。圧巻は、いちょうの散る時期だ。永遠に続くかと思うほどのいちょうの舞い散る様子には思わず足を止めてしまう。

俳句フォトエッセイ

凄まじき昭和の香り十三夜

東京の街はどんどん変わっていく。にも関わらず、各所に昭和という場所が残されている。例えば谷中が人気があるのもそうした理由があるのかもしれない。さて、十三夜である。「十三夜」は、中秋の名月の次の月、陰暦で言えば9月13日の月を指す。別名を「栗名月」「豆名月」「後の月」などと言う。十五夜は中国から伝わった習慣だが、この「十三夜」は日本独自の風習だそうだ。平安時代からの風習で、栄花物語に宇多法王が月見の宴を開いたという記述があり、これが最初だという。直に当たったわけではないので本当のところはわからない。さらに次の月の十日の月(とうかんやのつき)と言うのもあるらしい。

俳句フォトエッセイ

秋の色ここは亀戸猿田彦

猿田彦と言うのは、コーヒーチェーンの名前だ。スターバックスとか、タリーズとか、ドトールコーヒーとかと同じである。しかし、名前がいいではないか。猿田彦は、日本神話に出てくる神様で天狗の原型と言われている。ぼくはこのコーヒー屋を武蔵小杉で知った。小さな店で店内はお洒落。混んでいて中々入れなかった。亀戸の猿田彦珈琲は広く、明るく開放感がある。天狗は出そうにもないが、珈琲は美味かった。この日は江東区の第二亀戸小学校の俳句の授業だった。この学校は俳句の盛んな学校で、昨年はきごさい俳句大会の学校賞を獲得。今年も俳人協会のジュニア俳句コンクールの学校賞を獲得している。学校の形が面白い。

俳句フォトエッセイ

緑陰を演出したるスクエアー

「先生の授業を若手に見せたいから」と都心•中央区の小学校の校長先生から電話があった。空いている日を調整して伺うことにした。校長のA先生とは浅からぬ縁がある。平成25年だったか26年だったか、江東区の越中島小学校に天皇皇后両陛下がお見えになったことがある。行幸啓という。「俳句の授業」を見たいということで、私も説明役として狩り出された。その時の陛下と一緒に写った写真は、今も我が家に飾られている。一番印象に残ったのは、美智子妃殿下の気配りである。さりげなく、周りの人々に声をかけ苦労を労う。これが陛下や皇室を支えているのだと思った。なぜ、越中島小学校だったのか。これから先は、ぼくの推理である。

俳句フォトエッセイ

残雪や神の在(ま)します富士の山

新幹線の中から撮った富士山である。こう見ると、確かに霊験あらたかという感じがする。今日は沼津だ。加藤学園の高校生に俳句を教える。数年前から呼ばれ、2年生に俳句や俳句フォトを教えている。素直で熱心なので、すぐにこちらの意図を察して合わせてくれる。今日の授業も大成功だった。俳句フォトを全員が作り、全員の評をし終わった瞬間に終わりのチャイムがなった。ぼくの授業はかなりのテンポなのだが、担当のN先生がぼくの授業を見事に支えてくれている。成功するのはそのおかげだ。どんな具合に加藤学園の授業が始まったのか忘れたが、僕にとっては楽しい年間行事の一つになっている。沼津と言えば、沼津漁港だ。