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向こう側

俳句フォトエッセイ

夏来る憎つくき電信柱かな

今から70年近く前になるが、ぼくは写真の中央に立つ電信柱での出来事を鮮明に覚えている。確か、小学校5年生の夏だった。ぼくは自転車に乗り、この曲がり角に差し掛かった。その時に、向こう側から来たのは5トン積みのダンプカーだった。目の前に電信柱。ぼくは逃げ道を失い、自転車はダンプカーの後輪にあっという間に巻き込まれた。トラック特有の後輪差で巻き込まれたのだ。自転車の潰れる音がした。奇跡的に、ぼくは巻き込まれずに、跳ね飛ばされた。今はマンションの壁になっているそこは、幸いにも柔らかい垣根だった。あちらこちらに擦り傷を作ったが、頭も打たず一命を取り留めた。ぼくは運転手におんぶされて家に戻った。

俳句フォトエッセイ

噴水の瞬くうちに立ち上がる。

東京駅の中央口から歩いておよそ7分ぐらいだろうか。木造風の橋を渡ると和田倉門の跡だ。その向こう側に噴水公園がある。1961年に当時の皇太子(現上皇陛下)と美智子さまのご成婚を記念してつくられたものだ。さらに今上天皇のご成婚の機に大噴水やせせらぎなどが整備され、現在の姿になった。知ったきっかけは、NHKの「ドキュメント72時間」である。番組では、ここを訪れる人の人間模様がさまざまに描かれていた。番組の目の付け所の良さに唸ったが、ぼくも行ってみたくなった。後ろを振り返ると丸の内や八重洲の高層ビル群だが、目の前には皇居前の松林が広がり、その間から富士見櫓が見える。