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噴水の瞬くうちに立ち上がる。

小山正見

東京駅の中央口から歩いておよそ7分ぐらいだろうか。木造風の橋を渡ると和田倉門の跡だ。その向こう側に噴水公園がある。1961年に当時の皇太子(現上皇陛下)と美智子さまのご成婚を記念してつくられたものだ。さらに今上天皇のご成婚の機に大噴水やせせらぎなどが整備され、現在の姿になった。
知ったきっかけは、NHKの「ドキュメント72時間」である。番組では、ここを訪れる人の人間模様がさまざまに描かれていた。番組の目の付け所の良さに唸ったが、ぼくも行ってみたくなった。
後ろを振り返ると丸の内や八重洲の高層ビル群だが、目の前には皇居前の松林が広がり、その間から富士見櫓が見える。
公園には、無料休憩所もあり、カフェも営業しているが、やはり空の下がいい。梅雨空の向こうにわずかな青空が見える。
丸太のようなコンクリートのベンチに座り、ぼうっと空を見上げる。気持ちのよい風が通り抜ける。隣のおばちゃんは、おしゃべりに余念がない。サラリーマンは、お弁当を広げている。本に夢中になっている人もいる。皆それぞれの時間を過ごしている。
静かだった噴水が突然音を立てて立ち上がった。公園全体に瑞々しい命が吹き込まれたような気がした。しばらくの間、水の織りなすショーに心を委ねた。

都政新報6/30付「暮らしを楽しむ俳句フォト」38