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高層マンション

俳句フォトエッセイ

いざ花火浅草界隈人の波

規模から言えば、更に大きな花火大会はあるが、花火大会といえば、隅田川に尽きる。ぼくは、結婚した24歳の時から30年間隅田川に近い業平橋の団地に住んでいた。隅田川の花火は2会場で行われる。第2会場は我が家の目の前。第1会場はベランダからちょっと首を伸ばせば見ることができた。実に恵まれた環境である。ところが、人間不思議なもので「いつでも観られる」ということになるとかえって見る気が起きない。「どうせまた来年も見られる」と思うからだ。家にいる時も、食事をしながら時々窓際に花火を覗きに行くぐらいだった。花火大会の日、浅草の人出は百万人だという。身動きができないほどの狂騒だ。

俳句フォトエッセイ

街並みの古き記憶や蜃楼

江東区の枝川から豊洲へ向かう道である。ぼくは川崎に移り住む以前、つまり14年前までこの近くのマンションに暮らしていた。地下鉄の豊洲駅からこの道をよく歩いた。まだ工場が残る暗い道だった。ぼくの歴史を遡るとこの道を初めて通ったのは45年前である。第二辰巳小学校への転勤が決まり、門前仲町からバスに乗った。当時はマンションなど影も形もなかった。橋を越えた左側には、日新製糖の工場があった。右手にあったのは石川島播磨の工場群だった。夜になると裸電球の街灯だけがポツンと灯っていた。工場群を過ぎると忽然と現れたのが第二辰巳小学校のある都営団地だった。この道をぼくは10年通った。