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鷹羽狩行

俳句フォトエッセイ

母の日や母似の人と恋に落ち

私事で恐縮だが、私の妻になってくれた人は、背の高さも体型も母にそっくりだった。そのことに気がついたのは、結婚して何十年も経ってからだ。母とは、必ずしも仲が良かったとは言えなかったが、母への憧れが、いつの間にか身に宿っていたのだろう。気がつけば、母の日である。花屋に行くと、カーネーションの花束がきれいにラッピングされている。デパートの母の日フェアには若い男性の姿も目に入る。母の日は、母に感謝する日を作りたいと願ったアメリカ人女性アンナ・ジャービスの運動から生まれた。日本に伝わったのは、大正末期らしいが、当初からデパートの販促活動と結びついていたようだ。

俳句フォトエッセイ

アスファルト黒く光らせ穀雨かな

4月の下旬から5月の初旬にかけて降る雨を「穀雨」という。穀雨とは「穀物をうるおす雨」という意味である。この言葉自体は中国前漢時代の思想書、淮南子の「雨生百穀雨」(うりゅうひゃっこく)に由来するとされている。雨こそが命の源泉であるという思想がそこにある。アスファルトに覆われている東京に暮らしていると、穀雨という実感は薄い。「ああ、また雨か」と憂鬱な気持ちになったりするばかりだ。しかし、一歩家の外に出てみると、新緑が美しい。けやきの葉はぐんぐんと緑を増し、いちょうの可愛らしい葉が日に日に成長していく。つつじの赤が一挙にその数を増し、街を彩り始める。これも「穀雨」の恵みに違いない。