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地をかすめ右へ左へ梅雨燕

小山正見

この日の鎌倉吟行は、季節が何ヶ月か戻ったように寒い。コートを着て暖かい格好をして出かけたのに、それでも寒い。
行きの電車に慌てて乗り込んで座席に座って気がついた。周りが女性ばかりなのだ。
「ひょっとして女性専用車?」
何となく空気が甘い。

香水のほのかや女性専用車

次の駅で慌てて逃げ出した。
大船駅からタクシーで向かった先は、鎌倉中央公園だった。

タクシーの中は天国青葉寒

細い道を辿って公園の山崎口につく。降りると寒い。雨が落ちてこないことが唯一の救いだ。
柿の木に薄い黄色や白の花が咲いている。リーダー格のMさんが「ちょっと華奢だけど、これが蚊帳吊草かしら」と教えてくれる。早速いただいて、

華奢なれど蚊帳吊草のやうな草

と詠む。安易だ。

蛙が鳴いている。蛙の鳴き声を聞くには、何年振りだろう。
明日こどもたちが来て、田植えをするというので

蛙鳴く明日田圃になるところ

と詠んだら、「田圃は広い意味があり、田と畑など農地を指すので、「代田」または「植田」を使った方が良いと教えてもらった。言葉は厳密に使わなければいけないということだ。
句会に参加すると、こうした一つ一つのことを学べる。
驚いたのは、つばめの多さだ。広場を燕が右から左から横切っていく。超低空で飛んでいるかと思ったら、急に高く舞い急降下する。こんなに多くの燕を見るのは初めてだ。

編隊は組まずくるくる夏燕

と詠んだが、燕が編隊を組むのは帰燕する時だけだとも教えてもらった。
それにしてもあの燕の姿がなかなか俳句にならないのは、実にもどかしい。