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小満の胡麻の香りのロースかつ

小山正見

目黒の「とんき」など、何度も書いているので、ぼくがとんかつ好きであることは、ご存知かもしれない。
この日は、川崎ラゾーナの中にある「かつくら」に行った。気になっていたが、入ったことはなかった。本店は京都の三条にある。関西を中心に最近は海外にまで足を伸ばしている人気の店だ。ラゾーナの「かつくら」も店構えは何となく京都風である。
売りは上質な豚肉だ。メニューには「平田牧場の三元豚」などが並び、ぼくの食べた普通のロースかつでも二千円を超えた。
味噌汁にもこだわりがあるらしく、オプションで様々な味噌汁を楽しめるようになっている。こんなとんかつ屋は初めてだ。それに、すりこぎで胡麻をすり、中に特製のソースを入れ、絡めて食べる。
そのすりこぎを見て、ぼくは北千住を思い出した。思い出せる限り、ぼくの豚かつのルーツはここだ。店の名前は覚えていないが、路地裏にあるカウンターだけの店で、そこのすりこぎ棒だけは鮮明に覚えている。
ぼくは、その当時業平橋に住んでおり、足立区の江北小学校に通っていた。江北小学校は、西新井から池袋行きのバスに乗り、江北橋で降り、さらに歩いて10分ほどかかる位置にあった。毎朝、渋滞が発生し、最寄りの江北橋のバス停まで辿り着くことは稀だった。その学校に加賀谷稔先生がおり、ぼくは多大な影響を受けた。コンピュータもこども主体の教育方法も好奇心も彼から学んだ。一本のすりこぎ棒から加賀谷先生の姿がよみがえってきた。