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大川に桜の雨の降りしきる

小山正見

吾妻橋のアサヒビールの22階からの眺めはなかなかなものだ。
桜が満開になるのも近いだろう。
浅草の思い出をもう少し語りたくなった。
ぼくは、30年もの間、墨田区の業平橋に住んでいた。スカイツリーのすぐ近くだ。
浅草までは歩いて15分ほど。入り浸っていたと言ってもよい。しかし、酒は飲まなかったので、飲み屋だけは知らない。有名な神谷バーすら行ったことがない。
代わりに行ったのが、喫茶店だ。入り浸った最初の店は「misty」と言った。純喫茶ではなく、スナックといた風情。ジュークBOXがあり、ぼくはここでフランソワーズアルディの「もう森へなんか行かない」を知った。当時流行っていたインベーダーゲームにもハマった。ここは今「六文銭」というもんじゃ焼きの店になっている。
もう一つが「Flamingo」だ。
国際通りの神輿や太鼓で有名な宮本卯之助商店のすぐそばにあった。
2階はバーになっておりそちらは今でも健在なはずだ。
フランス風の深煎りコーヒーに金貨の形のチョコレートがついてきた。壁は緑色で大きな絵が掛かっていた。
ぼくはいつも大きなテーブルの一角に座り長い時間を過ごした。
オレンジ通りにはアンジェラスというケーキ屋があった。歴史があり、浅草を代表するような店だったが、いつの間にかなくなっていた。
永井荷風が愛したと言われる「ボンソアール」も今はない。
ルブランは如何にも昔の浅草という雰囲気を残していたが、改装された今は似ても似つかぬ店になってしまった。似たように作っても空気感がまるで違うのだ。今でも一軒だけ好きな店がある。隅田川沿いにあるカフェ•ムルソーという店だ。丁度、麦とろの裏あたりにある。開け放たれた窓からの隅田川の景色が抜群。これからの季節には絶好だろう。
それを思い出したら、もう一度浅草に行きたくなってきた。